南河内地域の中心地として発展してきた富田林。都市型近郊農業が盛んで、農業体験や収穫体験ができる施設が点在しています。今回は、富田林に近い千早赤阪村に住む家族が、2025年8月にリニューアルオープンの「サバーファーム」で、ぶどう狩りや自然の恵みを満喫。他にも、家族で楽しめる観光農園などをご紹介します。
豊かな自然に恵まれ、南河内地域の中心地として発展してきた富田林市。江戸時代の景観が残る「寺内町」が有名ですが、「都市型近郊農業」が盛んな地域でもあります。
特に東條地区※では、大消費地である大阪市に近い立地を生かし、収益性が高い農産物が生産されてきました。そんな地域性から、栽培や収穫を体験できる、人気の観光農園も多数あります。
※東條地区:旧東條村周辺。富田林市は南東部に位置する旧・東條村を編入し、現在の市域となる。
今回ご紹介するのは、約1年間の休業を経て2025年8月にリニューアルオープンした「富田林市農業公園サバーファーム」。甲子園球場5個分の広大な敷地に、ぶどう狩りやいちご狩り、野菜の収穫体験など、旬の味覚を体験できるプログラムや、地元産の食材をふんだんに使ったグルメが盛りだくさん。
今回は、サバーファームにすぐアクセスできる千早赤阪村に移住したばかりの家族(左官職人の夫・ともさんとクリエイターの妻・TSUYUさん、そしてみどり・あかり・まつりの三姉妹)が園内を巡り、自然の恵みを満喫します。
Guide
サバーファームがパワーアップして帰ってきた! 入園前から、地元産食材のオンパレード
約300台が駐車可能な無料駐車場には、すでにファミリーカーがたくさん停まっており、リニューアル直後ながら人気ぶりがうかがえます。
大きなロゴが目印のエントランスも、このたび新たな植栽が施されるなどモダンに生まれ変わりました。ゲートをくぐって園内へ!
……の前に、早くもお楽しみが。新施設としてオープンした卵かけご飯専門店「とんたま日和」と農園パン工房「コッペ」は、入場せず利用できるんです。
生まれ変わったサバーファームは運営体制も新しくなりました。120年以上にわたり食に携わってきた企業が管理に加わり、「富田林の豊かな作物を、もっと気軽に味わってほしい」と飲食部門にも力を入れています。特産物として市民にも知られている卵ですが、これまでは地元産の生卵を食べ比べできる飲食店はなかったそうで、早くも来場者から好評を得ています。
注文した「卵かけ定食 卵3つ」は、とんたま日和で扱う3種類の卵と豚汁などがセットになっていて、ごはんはおかわり自由。アクティビティ前の朝ごはんにもぴったりです。
卵3つはどの銘柄も個性がありながら、あっさりしてる。最後までおいしく食べられました。卵が1つor2つの定食もあるので、お腹の空き具合に合わせて選べるのがうれしいです。お醤油も選べて面白い。
おとなりの「コッペ」では、天然酵母を使用したパンを提供しています。おすすめは地元産の野菜やフルーツを詰めた惣菜パンやスイーツパンで、常時20種類以上を販売。同じく天然酵母を使った食パンも大人気だといいます。
イチジクのコッペは大人の味。しっとりしたコッペパンによく合う! あしたのパンや、お土産を買って帰るのもよさそう。
大きなぶどうを探し当てて、もぎたてをパクッ! みんなで協力して収穫体験
入場手続きを済ませて園内に入ると、目の前には自然豊かな景色が広がります。一家は本日の一番の目的であるぶどう狩りへ。道沿いの花畑を眺めて散歩しながら、ファーム中央にあるぶどう園を目指しました。
花畑では、四季折々に鮮やかな花が咲き来場者を迎えます。取材時はジニア(百日草)が植えられていました。
「周りをかこんでいる山のおかげで視界が広がって、園内がより広く感じられます!歩いていて気持ちいい」とTSUYUさん。
ぶどう園では、味や収穫時期が異なる4品種が栽培されています。シーズン終盤のこの日は、食用のほかワインの原料にも使われる「マスカット・ベーリーA」のエリアが解放され、家族連れで賑わっていました。ぶどう狩りの期間は、8月上旬〜9月下旬です。
スタッフたちからは「果実を保護している袋を触って、大きなものを狙って」とアドバイスも。慎重に手触りを確かめて、ハサミでカット。刈り取ったぶどうは、水で軽く洗えばすぐに食べられます。1房を食べ切れば次を収穫、という食べ放題システムです。さらにお土産で1房持ち帰れます。
ぶどうのシーズンが終わるとさつまいも掘り、さらにそのあとはいちごと、季節ごとの味覚狩りが用意されています。リニューアルを機に予約システムが新設され、「果物の出来や混雑具合が分かって、来やすくなった」と好評です。
手ぶらで来てこんな体験ができるなんて、ちょっとびっくり。もうちょっとハードやと思ってました。しかも道がきれいだから、ベビーカーでもすぐ近くまで行けるのがうれしい!
時間無制限の食べ放題+ぶどう一房をお土産で持ち帰り可能
開催時期:8月上旬〜
時間:9:30〜17:00(最終受付16:00)
料金:大人(中学生以上) ¥1,800/小人(4歳から小学生) ¥1,200
※入園料は別途必要です
※体験会場を一旦出られての再入場不可、雨天決行
詳細・予約はこちら
続いては、さらに奥の野菜エリアに進みます。ここでもさまざまな野菜がビニールハウスで育てられており、収穫体験ができます。この日はピーマンのハウスがオープンしていました。
ここでもスタッフの説明を聞いて食べごろを吟味。みどりちゃんとあかりちゃんは、自分の顔よりも大きなピーマンを厳選して刈り取りました。
ふたりとも、ピーマンを食べてくれないときもあるんだけど、生でもおいしそうに食べててびっくり。自分たちで採った経験も大きいのかも。食育ってこういうことか、と実感しました。
地元食材グルメを満喫! 収穫したぶどうでパフェ体験も
ランチは地元の野菜をふんだんに使った鉄板料
体験を終え、ランチを食べに向かったのは、体験型グリルレストラン「ファームグリドル トッテキテン」。多彩な調理法に対応した万能鉄板・マルチグリドルを使った料理が看板メニューです。
トクダ家がチョイスしたアヒージョセットは、富田林で採れた旬の野菜をふんだんに使用。この日の野菜は、なすやプチトマトなどが地元産です。
イメージよりもおしゃれなメニューだったけど、子どもも食べられる味付けで安心。外を眺めながら、みんなで調理できるのも楽しいね。
収穫したばかりのぶどうを、世界にひとつのパフェに
そしていよいよお楽しみ、もぎたてのぶどうを使ったパフェ作りへ。先ほど収穫したぶどうを使って挑戦します!
お手本の写真を見ながら、まずは、カステラやシリアルでパフェの下層を作ります。
アイスクリームとワッフルでデコレーションして完成!
作っている途中は「バランスが!」と両親のツッコミも入りましたが、きれいに出来上がりました。
パフェ作りは、季節ごとに内容を変え、土日祝に実施しています。予約優先。詳しくはこちらをご覧ください。
意外ときれいにできましたね(笑)。ふたりともうれしそうに食べてて、こっちも幸せになりました。
旬の味覚を使ったパフェ作りなど、大人も子供も楽しめる体験教室。
開催日:土日祝
時間:11:00〜/13:00〜/15:00〜(各回約60分)
定員:各回20名
料金:公式サイトでご確認ください
※入園料は別途必要です
詳細・予約はこちら
ちょっとした休憩や、お土産選びにうれしい施設も充実
ゲート近くまで戻ってくると、遊具のある広場で遊ぶ家族連れの姿も。すぐそばにある「ファームトラック」も賑わっていました。ここでは自家製パンで作るホットドッグやソフトクリーム、フライドポテトなどの軽食を販売しています。
富田林のとれたて野菜が豊富な直売所は大人気
帰りに立ち寄りたいのは、新鮮な農産物が並ぶ直売所「にこにこ市場」です。富田林市内の農家が毎日届けてくれる朝採れの野菜や果物を中心に、手作りの加工品もそろえており、日常のお買い物に利用する人も多いそうです。
トクダ家もかぼちゃと、お土産に卵とシャインマスカットを購入。どれもフレッシュな地元産です。
朝食べた卵がおいしくて、お裾分けしたくなりました。こうやって、感動したものをすぐに買えるのはうれしいですね!
自然の中で丸一日遊べるサバーファームは、これからますますパワーアップ!
新装開園直後から大人気のサバーファームですが、今後も新しいコンテンツが続々登場する予定です。休館中の温室は再オープンに向け調整中、ブルーベリー園は2027年の収穫体験スタートを目指しており、ますます目が離せません。
空気がきれいで、景色もどこを切り取っても美しい。スタッフさんたちのフレンドリーな接客にも、元気をもらいました!
貴重な国産はちみつを豊富にそろえた「みつばち博物館」でお土産をゲット
近隣には、ほかにも農園や直売所がたくさんあります。サバーファームから車で5分ほどの「みつばち博物館」に立ち寄りました。ここは、半世紀以上にわたりはちみつの生産に取り組む「アズマ養蜂場」の直売所で、養蜂業やミツバチに関する展示でも有名です。
自慢の「100%純粋はちみつ」は採取地や花の種類で分かれており、おすすめの食べ方も異なります。中でもおすすめは、れんげ蜜。地元の米農家と協力し、稲刈りが終わったあとの田に種をまき、花づくりから行っています。ここでもお土産をゲットして、帰路につきました。
はちみつと一言で言っても、花の種類によって色が全然違うんですね。養蜂にまつわる展示もボリュームがすごくて、アズマ養蜂場さんのミツバチ愛が伝わってきました。
Photo:北川 暁(Satoru Kitagaga)
Edit:南歩実(Ayumi Minami)
Direction:人間編集舎